fbpx
loading
スタッフブログ

お家づくりを学ぶ|社内研修【フィン・ユール邸】

こんにちは。iKKA松野です。

10月30日は社内研修でお休みをいただき、ありがとうございました。

社内研修は、住宅を建築する私達にとって何か学びとなる事をしたいと、全員で行く場所ややりたい事を検討するのですが、今回は「飛騨高山」に行ってきました。 とてもいい一日になったので、そのときに感じた事をお話させていただこうと思います。

そもそもなぜ飛騨高山なのか?ですが、
今回訪れた「フィン・ユール邸」を見ることが一番の目的でした。

高山市にあるフィン・ユール邸とは、20世紀中期にデンマークを代表する家具デザイナーであったフィン・ユールの自邸を日本に再現した建物です。

フィン・ユール邸は、自然の取り込み方、内外空間の連続性、各部屋との相互関係が秀逸だと言われています。

フィン・ユール邸は、私達がお家づくりで大切にしている事と共通する部分が多くあり、また自然と共にゆったりと暮らすデンマークの生活様式や空間作りを学べる場所でもあるため、以前からとても興味をもっていました。 それに加えて、飛騨高山の豊かな木々から製作された家具も有名で、北欧家具デザイナーの生産ライセンスをもつ工房もあり、それらを実際にみて、触れて、学びたいと思いました。

車で3時間半。

車から降りると、晴天に恵まれ、白い漆喰塗りのフィン・ユール邸は青い空によく生えていました。

L字型の平屋の住まい。赤や黄、青といった鮮やかで気分が楽しくなるような色が使われているのは、北欧ならではの感性ですね。

外壁はレンガ積みの上に漆喰で仕上げているそうで、

レンガの凹凸が不規則に浮かび上がり、真っ白でありながらどこか素朴な、手作りの温かみといったものを感じました。

まずは建物をぐるりと一周。

光をたっぷりと浴びる南西側から北側に周ると、外壁表面に少しコケや剥がれがあり、方角や環境によって、外壁の変化にも違いが見られました。

環境によっては湿気を吸収する漆喰は渇きにくいこともあるため、メンテナンスを行う頻度を増やしていただくことや、違う素材を検討する、といったことは必要だと感じました。

地面に敷かれたレンガは、フィン・ユール邸の外壁に用いられたレンガなんだそう。

色味の変化や使用感に味わいがあって、劣化とは違う良さを感じますね。

こちらがエントランスです。いよいよ室内へ。

玄関ホールから一つ扉を開くと、ガーデンルームが迎えてくれます。

庭の緑や空をたっぷりと取り込んでいて、とっても気持ちのよい場所です。

窓を開けると風が通り、ずっと座っていたくなる心地よさです。

ガーデンルームの外には屋外用のベンチがあります。

フィン・ユールは犬を飼っていたので、愛犬とここで日向ぼっこをしていたのかもしれませんね。

座ってみると、木々がそよそよ揺れる様子や、小鳥の声が聞こえ、穏やかな時間が流れます。心が開放されるような…そんな気持ちになりました。

色んな事を考えすぎて疲れてしまう昨今、頭の中をリセットしたり、何も考えないで無心になれる、そんな時間を設けることは大切なことなのではないでしょうか。

造り付けソファに座ると、リビングの様子が見通せます。

扉の先には、景色を切り取る窓と、魅力的な家具や本棚が。

フィン・ユール邸では、目線の先にあるものがどれも美しいことに気付きました。

それは、お庭の緑であったり、美しい作り付けのソファであったり、四季を感じる遠くの山々であったりします。

ふと顔をあげると見える日常の風景が美しいということは、心が満たされますね。

また、ちらりと見える先の空間に行ってみたくなる、わくわくとする期待感がありました。誘われるように自然と足が動くような…便利な動線といったものとはまた違う、各部屋とのつながりも感じました。

ガラスの引き戸を開けると、ガーデンルームの爽やかな印象とは変わり、温かな雰囲気のリビングルームが。

実際にフィン・ユールが暮らしていた当時と同じ配置で家具が置かれています。

暖炉を囲んで談話をする向かい合った椅子の配置だったり、

お庭に向かってベンチが置いてあったり、

お部屋全体が見渡せる一人掛けのソファであったり…

それぞれの椅子に座ると、フィン・ユール邸で当時の人たちが過ごした和やかな時間が想像できるようでした。

デンマークと日本では、空の色、草木の色も違ってきます。

内装の色は品番で決めるのではなく、デンマークのフィン・ユール邸を元に、日本の環境に合わせて調整したそうです。色に対するこだわりも素敵ですね。

最初に外観を見たときの、鮮やかな黄色のオーニング。

あのオーニングを開くと室内に入る光が黄味をおびた温かな色になり、オーニングを閉じると、爽やかな空の青が現れます。

同じリビングでも、雰囲気を変えて楽しめる工夫ですね。

フィン・ユール邸は、外と内とのつながりがとても心地よく、

家の中にいても、外の自然と距離が近くに感じられました。

窓の取り入れ方や窓周りのつくりなど、今後のお家づくりの参考になる要素がたくさんあったように思います。

スタッフそれぞれに、しっかりと感じ、目に焼き付けました。

それともう1つ、名作と言われる北欧の家具デザイナーの家具にふれることも今回の目的です。

併設された家具工房で創られた、質のよい家具が置かれているショールームへ行ってきました。

良い家具とはどういう家具なのか?

思い思いに座って、触って体感してきました。

わたしが思ったことは、まずは見た目の美しさ。

座るという機能性だけではない、お家にあると嬉しくなるようなデザイン。

裏表を感じさせない木の形や、シンプルながら愛着のわく全体のフォルム、上質できれいな色味の生地などから感じられました。

それと、座ることでシーンが想像できること。

例えば、手をかけやすい短めのアームがあって、立ち上がりやすいダイニングチェア。

深々と腰かけて、アームに自然と肘を置いてゆったりと時間を過ごすシングルソファ。

女性が腰かけると、自然と女性らしい体勢になる、会話を楽しむラウンジソファ。

使い勝手はもちろんのこと、座ることでどういう時間を過ごせるのか。

そんなことまで考えられているのだろうと思いました。

大切に過ごしたい時間を、丁寧に過ごす。

そんなときに、良い家具は寄り添ってくれるのではないでしょうか。

更に、手のひらで感じる優しさを大切に、加工の工程は機械加工と手加工のバランスを考えて行われていること、

カバーで見えなくなる張りの工程は手を抜くと座り心地に影響するため、高い技術を要すること、

アンティーク家具として永い年月使っていけるしっかりとした構造と、リペアをして使い続けていけるということの大切さ。

良い家具とは、座る人のことを真剣に考えた家具のことなのかもしれません。 なんだか、お家づくりと同じだなぁと感じました。

今回の研修では、たくさんの学びがありました。

帰りの車内で話をしていると、設計は設計として、監督は監督として、それぞれに学びがあったようでした。

これからのお家づくりに、しっかりと生かしていきたいと思います。