こんにちは、iKKAの久保田です。
今日は吹抜けの照明についてお話しようと思います。
・吹抜けって憧れがあるから採用してみたいけど、具体的に照明ってどうしたらいいの?
・日中は窓の光で明るいけど、夜は天井照明だけだと暗くないのかな?
・吹抜けにシーリングファンを付けたいけど、付けられるのかな?
今回はiKKAで実際に施工させていただいた実例をみながら、吹抜け照明をより魅力的な空間にする方法をご紹介します。また、吹抜けの照明計画をご提案する際、私たちが普段から気を付けているポイントについてもお話しようと思います。
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吹抜けとは?
吹き抜けとは、下の階と上の階の間に天井や床が無く、つながっている空間のことを指します。
上下階のつながりがあるため、空間としての一体感が生まれ、広く開放的な空間を演出してくれます。
また、吹抜け空間だと部屋の高いところに窓を設けることが出来るので、自然と部屋全体を明るい空間にすることが出来ます。iKKAでは、吹抜けは主に、リビングや玄関などにご提案することが多いですね。
吹抜けの照明選びの考え方
吹抜けは、日中は窓からの自然光で明るいのですが、夜は他の部屋と同じように単に天井面に照明をつけるだけでは部屋の明るさは物足りなく感じてしまいます。
というのも、照明を選ぶとき、一般的に明るさの単位lm(ルーメン)を基準に照明を選定しますが、明るさは距離の2乗に反比例します。
光が集光なのか拡散光なのか、壁が光を反射しやすいのかどうか等一概には言えませんが、天井高が2.2m~2.4mの部屋の照明がダウンライトで4灯だとすると、その倍の高さがある吹抜けでは16灯になってしまいます。これでは天井が照明だらけになってしまいますね。
それではどうしたらいいのか?
吹抜けでは天井照明だけに頼ってお部屋全体を明るくしようとするのではなく、明りが必要な場所、生活の雰囲気に合わせて照明器具を使い分ける必要があります。
それでは具体的に写真を交えながら例をご紹介します。
吹抜け照明の種類ごとのポイント
【スポットライト】
吹抜けの中間あたり、ちょうど1階の天井と2階の床があるあたりにスポットライトを設置すると下の階の生活スペースに必要な明かりを届けるだけでなく、照明の向きを上向きに変えて吹抜けの天井面を照らすことでお部屋全体を明るい印象にすることも出来ます。
また、ダクトレールと組み合わせることで、スライドさせて位置を調整したり、明るさが足りないと感じたときは灯数を増やすことも出来ます。
注意点としては、一体感のある吹抜けでは、上の階から下の階を見下ろしたりもするため、光源が直接目にはいらないように照明の向きや設置場所を考えてご提案しています。
【ブラケットライト】
ブラケットライトは壁面につく照明の為、床を照らすというよりは壁を照らし間接的に部屋を明るくする照明です。
細長い形状のライン型ブラケットライトを選べば、広い範囲の壁面を照らすことができるので、部屋全体を明るい印象にしてくれます。
また、照明の灯りで壁に変化をつけることで、大きな壁から感じる圧迫感を抑えることが出来ます。
意匠性のあるものであればポイントとして入れることでアクセントになり大きな空間を引き締めてくれます。
様々なデザインのものがあるので、選ぶのが楽しいですね。
こちらはあまり高い位置につけると階段や家具とのバランスを取るのが難しくなるため、お部屋全体の要素と合わせて設置場所を考えています。
【ペンダントライト】
吹抜けの中心に明かりを持ってくることが出来るペンダントライト。デザイン性があり、お部屋を印象的な空間にしてくれます。サイズの大きいものでもバランスよく配置できるのも吹抜け空間ならではですね。
ペンダントライトはシェード(電球を覆う傘のようなもの)によって光の向きが変わります。
全体に光を拡散するタイプであればお部屋全体を明るく一体感のある空間にできます。
逆に傘のような光を抑えるシェードの場合、ペンダントライトの下に光が集まるので、吹抜けのようなひとつながりの部屋の中でもポイントとして居場所を作ることが出来ます。この場合は吹抜け全体としては少し暗くなってしまうため、ブラケットライトやスポットライトなど他の照明器具と合わせて明りを足してあげたりします。
ペンダントライトを設置するときはライトの高さを下の階から3mぐらい(脚立に乗って手が届く範囲)に設置することが多いです。そうすると電球が切れた時も交換しやすく、シェードの上にたまったほこりも掃除できるので、おすすめです。
【フロアライト】
移動が簡単にでき、気分に合わせて好きなところに設置が出来る照明です。ソファまわりやテーブルの上、壁や部屋の隅など何もないところもパッと明るくでき、家具のように魅せるインテリアとして置くことも出来ます。フロアライトは、空間全体を明るく照らすことは苦手なため、吹抜けで使う際は他の照明と組み合わせてあげると、吹抜け空間の「質」をぐっと上げることが出来ます。
また、後からでも取り入れることができるので、自由度が高く、今明りが足りないと感じている場所にも気軽に足してあげられるのもいい点ですよね。
シーリングファンとの合わせ方
吹抜けをつくるとともに、空気の循環のためにシーリングファンをつけられる方も多いと思います。シーリングファンを設置する際は、同時に照明計画も考える必要があります。
というのも、シーリングファンの近くにダウンライトを設置してしまうと、ファンを回した際に羽の影がちかちかと壁や床に映ってしまい、それが苦手な方もおられます。
シーリングファンとダウンライトを組み合わせる場合の注意点としては、
シーリングファンの羽先からダウンライトまでの距離を、羽先から天井面までの距離以上離すなど、ちらつきの発生を軽減するように設置位置を決めることが大切です。
また、ペンダントライトとシーリングファンを組み合わせる場合の注意点としては、
シーリングファンの近くにペンダントライトをつけると、照明本体が軽い場合、風で揺れてしまうことがあります。
吹抜けにペンダントライトを設置したい場合は、シーリングファンからの距離を十分にとったり、下の写真のように吹抜けに接する壁から専用の器具で突き出して、そこにペンダントライトを吊り下げることが出来ます。そのような専用器具はスチールや真鍮など素材感があるものが多いので、インテリアとして組み合わせて個性を出すのもいいですね。
どうしても対策が難しい場合は、ブラケットライト(壁付け照明)やフロアライト(床置き照明)で生活スペースの明りを確保したいですね。
梁との合わせ方
吹抜け空間に梁を見せている場合は、梁を活用して照明器具を付けられるといいですよね。梁に照明をつける場合は、通常は壁の中に隠してしまえる照明の配線を、なるべく見せない様に工夫が必要です。また、iKKAでは構造を大切にしているので、梁にあまり穴をあけないように施工をしています。
方法としては、梁と壁がぶつかる部分までダクトレールを伸ばしてきたり、梁の表面に板をかぶせてそこに線を隠したりします。(どうしても施工上梁を傷つけてしまう場合は、梁の大きさを少し大きくして対応する場合もあります。)
さらに梁より上に照明を設置する場合は、梁の影が床に落ちないような工夫も必要です。
照明計画の際に気を付けていること
ここまで吹抜け照明について種類や組み合わせをご紹介しました。照明の選定はもちろんですが、実際に私たちがお家の計画をしている際に気を付けていることについて少しお話します。
打合せの時は、平面図に電気の配線が書かれた「電気図」を見て打合せになります。
そのため、下の階と上の階を別々に考えてしまいがちですが、吹抜けがある場合、図面を重ねるように合わせて考えることが大切です。そうすることで、吹抜けと吹抜けに連続する部屋の照明の位置が把握できるため、照明の配置が上と下でバラバラなんていうことも防げます。
また、吹抜けは上下に広い空間なので、平面図だけを見ていても実際の空間のイメージはしにくいものです。
そんな時は展開図も作成し、器具の設置する高さやコードの長さもしっかり検討していきます。
さらに打合せでは、お施主様の性格やライフスタイルに合わせてスイッチの位置も確認します。
吹抜けのあるお家は上下階がつながっているため、必要に応じて上の階からも照明の操作ができるような配線にできていると便利です。好みにもよりますが、器具ごとにスイッチを分けておくと、吹抜け全体を明るく家族団らんの雰囲気にしたいときと、明りを抑えて落ち着いた雰囲気にしたい場合と、お部屋の印象を変化させる演出もできます。
吹抜けの照明についてのまとめ
今回は吹抜けをつくる際の、照明のポイントについてご紹介しました。
「吹き抜けを明るくするだけの照明計画」だけでなく、「吹抜けをより魅力的に見せてくれる照明計画」をしっかり考えていきたいですね。
「気を付けるところがいっぱいで、やっぱりわからない。」
「この照明をつけたいけど、どうしたらいい?」
と思われた方はまずご相談くださいね。
お家の魅せ場になる「吹抜け」を照明と組み合わせて、より素敵な空間に出来るよう、一緒に考えていきましょう!