こんにちは。iKKAの藤崎です。
季節は冬へ移り、本格的に寒くなってきましたね。
朝出勤していると、すっきりと澄んだ冬の空気が気持ちよく感じます。
心地よいお家づくりを考える中で、
深呼吸が出来る空間というのは、やはり気持ちが良いなと思います。
電子機器や工業製品を上手く取り入れることでも可能ではありますが、
自然にあるものを効果的に使いたい方も多いのかと思います。

内装仕上げを塗り壁にしたい時の材料として、主に「珪藻土(けいそうど)」と「漆喰(しっくい)」があります。
実際、ビニールクロスと比べて「何がどう良いのか?」「違いはなに?」というご質問をいただくことがあります。今回は、そんな塗り壁材である漆喰と珪藻土について、それぞれどのような特徴があるのかまとめてみたいと思います。
主原料が異なる
まず、大きな違いの一つには「素材の主原料」にあります。

<漆喰>
漆喰は「消石灰」が主原料で、石灰石を1000度以上の高温で熱したものが消石灰です。
例えば、学校のグラウンドに引く白線は消石灰です。そこにのり・水・ワラ等を加えて混ぜ込んだものが漆喰となり、壁に塗る材料として使われています。もとはサンゴ礁を原料としているため、自然由来で安心安全な材料です。
また漆喰は、二酸化炭素と反応してゆっくりと自ら固まる性質があります。長い間、じっくりと時間をかけて固まることで、お家の壁として使い続けることのできる耐久性の高さも漆喰の魅力の一つです。
水にも強く、外壁材としても使用できるため、お城などにも使われています。
<珪藻土>
珪藻土は「珪藻」と呼ばれる植物性プランクトンの化石が主原料で、藻の一種です。
珪藻土はかなり細かい穴が沢山空いている多孔質素材で、この穴が調湿効果や消臭効果など、様々な良さを発揮します。
また珪藻土は耐火性が強く、建物の壁や耐火レンガ、コンロや七輪にも使われています。
吸水性もあるので、コースターやマットレスとしても親しまれています。 ただ、珪藻土自体には固まる性質がないので、泥や繊維などの副資材(固める素材)を混ぜ合わせて壁材にする必要があります。

〝みんな施工でお施主さまと一緒に塗った漆喰壁は、味のある豊かな風合いに。〟
天然の糊(のり)材
ここで、さらに自然素材にこだわるのであれば押さえておきたいポイントがあります。
漆喰を使用する場合は、糊材に化学合成ボンドが使われず、天然の糊材を使用しているかどうかです。
珪藻土を使用する場合は、
副資材として配合する原料がどのようなものなのかを確認する必要があります。
中でも天然の漆喰が配合されているのがおすすめとされています。
「特に自然素材にこだわりたい」という方は、メーカーごとの成分や性能を確認しながら、選択できると良いですね。
漆喰のメリットデメリット
<漆喰メリット>
消臭・抗菌効果
漆喰は原材料が石灰石ですので、pH値が高くアルカリ成分が強い材料です。
そのためカビや細菌を分解してくれる性能があり、また、汗臭、皮脂臭、生ごみの匂い、加齢臭など、酸性の匂いに効果的であると言われています。また、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを吸着し、分解する働きがあります。
耐久性
また、漆喰はゆっくりと固まる「気硬性」があるので、徐々に岩のような固い状態になり、耐久性が高くなります。水にも強いので、外壁や浴室にも使えます。
お湯でふいて汚れを取ることも可能です。
耐火性
漆喰は防火性に非常に優れているため、最も防火性が高いとされる不燃材料に分類されています。 ※製品によっては不燃の認定を受けていない商品もありますので、詳細仕様をご確認ください。
<漆喰デメリット>
ひび割れといった材料の性質があります。
そのため、専用の紙下地を施工することで割れを軽減することが出来ます。
また施工する手間がかかるため、壁紙に比べコストが割高となるといった部分があります。
ただ、初期費用は掛かりますが、耐久面ではビニールクロスよりも10倍近く高いとされておりますので、ランニングコストも含めて考えると、コストパフォーマンスは良いと考えられます。

〝「スタディースペースは、汚してもいいような自由なスペースにしたい」と住まい手の想いから、
家族みんなの手形を残し、遊び心のある空間になりました。〟
珪藻土のメリットデメリット
<珪藻土メリット>
調湿効果
漆喰もビニールクロスに比べて湿気を10倍以上吸込む性質がありますが、
珪藻土は漆喰より1.2倍湿気を吸う力が大きいのが特徴です。
カラッとした空気感で過ごしやすいので、湿気でこもりやすい部屋などには、調湿力の高い珪藻土を塗るのをおすすめします。
消臭効果
珪藻土は漆喰と同じく、嫌な臭いを湿気と共に吸い込み、分解してくれます。臭いの原因には、洗濯物、靴、焼肉、ペット、煙草など、沢山存在しますが、ほとんどが水に溶ける水溶性の分子に着いているもので、珪藻土はそんな水溶性の臭いの分解ができます。また、珪藻土はホルムアルデヒドも消臭できます。
耐火性
漆喰と同じく、珪藻土も防火性に非常に優れているため、不燃材料に分類されています。
※製品によっては不燃の認定を受けていない商品もありますので、詳細仕様をご確認ください。
<珪藻土デメリット>
乾燥によってポロポロと珪藻土が剥がれる場合があります。壁にぶつかったりすると、衝撃によって傷がつきやすいことがありますが、このことは、副資材にアルカリ性と耐久性の高い漆喰を混ぜて改善することができます。また、珪藻土は水に弱いため外壁には使用できず、室内壁のみでの施工となります。洗面・トイレ周り程度には問題のない素材です。

〝珪藻土の質感は、「ゆず肌」と呼ばれるようにざらざらとした表情で、漆喰に比べてマットな質感です〟

〝こちらのお家では城壁漆喰を塗っています。落ち着いた陰影がとてもきれいです。
塗り方一つで壁の表情もそれぞれ違いますので、印象が変わりますね。〟

〝こちらのお家にはルナしっくいを施工させて頂きました。ローラーの仕上げはムラのない上品な印象となりますね。〟
夏のジメジメした時期に個別案内をさせて頂いたお家でしたが、
日本独特の暑さが和らいでいるように感じました。
それぞれのメリットとデメリットをきちんと理解した上で、
お家づくりに取り入れて頂ければと思います。
呼吸する壁材や床材といった自然素材を使うことで
住まわれる人も自然と心地よい呼吸ができるのではないかと思います。