こんにちは
iKKAの野村です。
年の瀬に近いこの時期、晴れたり雨が降ったりと不安定な日が続きますね。
年末の大掃除は晴れている日に気持ちよく行いたいです。
さて、新年を迎える準備で慌ただしくなる前の休日に、福井県にある
年縞(ねんこう)博物館に行ってきました。
年縞(ねんこう)博物館とは三方五湖の1つ、水月湖(すいげつこ)の底などに
長い時間をかけて積もり積もった泥や落ち葉の層の断面を展示している博物館で、
建築家の内藤廣さんが設計された建物です。
なんと7万年分もの層があり、長さにするとおよそ45mにもなります。
どの時期に地震や火山噴火等が起こったかなど、歴史の年代決定のための国際基準の
物差しに採用され、世界の歴史研究にも役立っているそうです。
内藤さんによる設計や構造について興味があったので見学に行きました。
建物は切妻屋根に細長いシンプルな形状で、年縞の採掘場所である
水月湖(すいげつこ)に建物の軸が向くように配置されています。
平面プランは1階にピロティとエントランス、2階に展示室とカフェが配置されています
構造について床部分はRC造で屋根は木造、その2つを繋ぐために鉄骨トラスといった
3種類の構造手法を併せて建てられています。
当初はRC造と木造で検討していたそうですが、積雪荷重や耐地震力などを考えると
木造部分の負担が大きく、構造的に難しい課題になったそうです。
木材のサイズを大きくすれば対応が可能のようでしたが、無骨というよりも
軽やかな空間にしたいという意図から鉄骨を用いることに決まったようです。
ここに至るまでに設計士、構造設計士で約半年間ほど検討されていたそうで、
大規模建築での新しい取り組みにはそれほどの時間と労力が必要なのかと驚きました。
実際の展示室は圧迫感は感じず、端から端まで視線が通るので開放感すら感じました。
水月湖に向けての軸線や周辺環境の川や湖、地面の起伏を考慮しての計画は
設計者の考えた意図が伝わってくるように思いました。
また、難しい工事については地元の業者さんが地元に良いものを造りたいと、
もの造りに対する熱意をもって取り組まれたそうです。
私たちが携わらせていただいているお家造りはこれほどの規模ではありませんが、
とても共感しました。
もの造りの根本は同じなのだと再認識することができたように思います。
今後もこういう機会で自分の引き出しや知識を増やして、実践できるように
していきたいです。