iKKAの木原です。
ここ最近は、日も長くなり、空の青さと植物の緑がとても鮮やかな季節になりました。
暖かい日には、窓を開けて、気持ち良い風を受けてお家時間を楽しみたいですね。
今回はそんな自然の力を取り入れたお家づくりである、「パッシブデザイン」というものについてご紹介したいと思います。
「パッシブデザイン」って何?
「パッシブデザイン」を取り入れたお家づくりをしたい!
自然の光や熱、風を感じて心地よいお家をつくりたい!
エコや省エネにつながるお家づくりをしたい!
健康快適なお家づくりをしたい!
お家づくりを楽しみたい!
といった方に読んでもらえると嬉しいです。
パッシブデザインとは?
自然エネルギーを巧みに利用して設計に活かす手法を「パッシブデザイン」といいます。
お家のあり方や工夫によって、上手に自然の熱や光、風を活用・調節をして、心地よい室内環境を実現させながら、省エネルギーにもなる設計手法です。 これは建築基準法に定められているものでも、国が定めた作り方のガイドラインがあるわけでもありません。
パッシブ(Passive)を直訳すると「受動的な、受け身の」という意味です。
家づくりでパッシブというと、「どこかの会社の営業マンやインターネットやニュースで何となく聞いたことがあって、どうやら家づくりに取り組むとエコで省エネな暮らしができるものらしい。でも実際にどういう仕組みで、どう暮らしに関わるかについてはまだ分からない事が多いな。」
というのが比較的多い意見なのではないでしょうか。
パッシブデザインの暮らしへの効果
パッシブデザインの効果を生活に具体的に当てはめていくと、こういった感想が多いと思います。
「窓を開けると、風が通って気持ち良い」
「昼間は太陽の日差しが届き、日中は電気をつけなくても自然光が入ってきて室内が明るい」
「夏の強い日差しは庇や植木で避けるので、室内が暑くなりにくい」
「冬は太陽角度が低くなることで、日差しが直接お家に入るので室内が温かい」
「空調設備を使いすぎないので光熱費(電気代)が思ったより高くない」
「自然を感じるので健康的」
「子供がいい家だと言う」
パッシブデザインを上手にバランス良く組み込むと、「寒い!」「暑い…」「風が通らない」「暗い…」などのストレスから開放されるだけでなく、毎月の光熱費負担も少なくなります。
自然エネルギーを季節に合わせてコントロールすることで、少ないエネルギー(光熱費)で「夏涼しい」「冬暖かい」「風通しが良い」「明るい」を感じることができるようになります。
結果、四季を通じて健康快適で心地よい住まいができます。
お子様がお家を好きになっているという感想も実際に耳にします。パッシブデザインは、暮らしに良いことが多いですね。
パッシブデザインの5項目
まずはパッシブデザインの大きなポイントを抑えていきましょう。
パッシブデザインには5つの項目があると言われています。
①断熱・気密(冬暖かい)→熱の出入りを防ぐ
②日射遮蔽(夏涼しい) →日差しが入るのを防ぐ
③昼光利用(明るい) →光を取り込む
④自然風利用(風が通る) →風を上手に利用
⑤日射熱利用暖房(冬暖かい) →太陽熱を使う
「冬暖かい」はお家の性能の断熱気密強化だけでも確保しやすいですが、「夏涼しい」「明るい」も両立するためには、このパッシブデザイン5項目の理解が必要です。
①断熱・気密性能
自然エネルギーをより効率的に
パッシブデザインを考えていく上で、まず一つ目に大切なのがお家の「断熱性能」です。
最近では「断熱性能」という言葉は広く知られるようになりましたが、皆さまもご存じでしょうか?
断熱性能とは、外気の熱や冷気を室内に入れないよう、断熱材や窓の性能によって遮断する能力を示したものです。断熱性能が高ければ、お家の中の温度が外気温に大きく左右されず、四季を通して、快適な温度に保つことができます。
また、断熱性能と密接に関係している「気密性能」も大切です。気密とは、空気の出入りを抑え、お家の隙間を少なくすることです。いくら優れた断熱性能を持ったお家を建てても、お家に隙間が多ければ、「中の暖かい空気は逃げていき、外の寒い空気はどんどんと入ってくる」このような現象が起こります。「中で温めた空気を逃がさない、そして外の冷たい空気を入れない。」
そのためにはお家の隙間を少なくし、気密性能を高くする必要があります。
私たちがつくるお家は、建物全体を断熱材で包み込む外断熱に内断熱をプラスしたW断熱工法を採用しています。一般的な内断熱工法に比べて、二重の断熱材により、外気の影響を受けにくく、気密性も高くなるため、パッシブデザインで取り入れた自然のエネルギーを効率よく利用することができるのです。
・断熱性能の基準
断熱性能を示す値に「UA値」という指標があります。「UA値」とは、「外皮平均熱貫流率」のことを指し、住宅の床・壁・窓などから逃げる熱の損失が分かります。数値が小さいほど、熱は逃げにくいので、断熱性能が高いということになります。
iKKAのお家は、平均UA値0.40~0.49W/(㎡・K)、HEAT20が提案する世界レベルの断熱性能となりますので、パッシブデザインをする上でより高い効果を得られる性能値です。
・気密性能の基準
気密性能を示す値に「C値」という指標があります。「C値」とは、「お家の隙間を測定した数値」のことを指します。高気密住宅と呼ばれるのは一般的に気密値1.0以下を指し、数値が小さいほど、隙間が小さい=気密性能が高いと言えます。
iKKAのお家の気密値は、平均0.2~0.5㎠/㎡です。
高い気密値(数値の低い)を可能にする事で、お家の隙間がなくなり、断熱性能を十分に発揮できる、高気密・高断熱なお家となります。
②日射遮蔽
強い夏の日差しを遮る工夫をしよう
近年、気温がどんどん上昇し、夏はとくに厳しい暑さが続きますよね。お家に帰って、すぐにエアコンをつける方も多いのではないでしょうか。
パッシブデザインにおける日射遮蔽は、夏の強い日射しを遮るために太陽の動きと周辺環境を読み取って、設計の工夫をしています。その効果としては、冷房エネルギーを15~45%程度の削減効果があると言われています。
パッシブデザインの夏の日射遮蔽に大切な、いくつかの要素を見ていきましょう。
・窓から入る日射を防ぐ
夏場、お家が蒸されているような暑さを感じるのは、「窓」からの日射熱が大きく影響しています。夏の日射熱を防ぐためには、写真のお家のように、軒や庇をしっかりとつくり、夏の日差しを室内に入れすぎないようにすることが大切です。
また、窓辺に落葉樹を植えると、葉のある夏は、日射をほどよく遮ることができるのです。
風で揺れる緑に気持ちも爽やかになりそうですね。
・太陽が発する赤外線(輻射熱)を防ぐ
太陽の日射しが当たると、その部分が暖かくなります。これは、太陽が発する赤外線(=輻射熱)によるもので、この赤外線は、断熱材だけでは防げず、温度の高い方から低い方へと移動する性質をもちます。太陽の日射にあたると外壁や屋根から断熱材、室内へと熱が移動してしまうため、室内が熱くなってしまうのです。
iKKAのお家では、この赤外線の吸収を少なくするために、断熱材の面材に赤外線高反射タイプのアルミ箔を採用しています。そのため、夏場の強い陽射しの赤外線(輻射熱)を反射して室内の温度上昇を大幅に減らすことができるのです。
私たちは、この電磁波を防ぐことも日射遮蔽の一つだと考えます。
永く住まうお家だからこそ、省エネルギーで夏場も快適に過ごせるお家づくりを目指したいですよね。
③昼光利用
明るいお家で心も豊かにする太陽の力
次は、自然の「光」エネルギーを利用したパッシブデザインです。
毎日過ごすお家だからこそ、心地よいと感じられる光はとても大切です。
OBさまからよく耳にするのは、「日中はほとんど電気をつけていません!」「直接光が入ってこなくても十分明るくて居心地がいいです!」「木漏れ日が足元で感じられて癒されます」という嬉しいお声です。
パッシブデザインのお家設計においては、なるべく自然光で十分な明るさを確保することで心地よさだけでなく、照明を使う時間を減らすことができ、電気代の削減にもつながります。
「光」の力を利用したパッシブ設計のポイントをご紹介しますね。
・太陽光を活かす
私たちは、‟南向きだから窓を開ける”という考え方ではなく、‟心地よさを生み出すため”に窓を設けています。そのため、車通りが多いなどの理由で大きく窓を設けられないときは、高窓や視線が抜けない窓をつくり、自然光の力を存分に活かせられるように計画しています。
・やわらかな光
自然の光は、東西南北どちらの方向からも、 曇りや雨の日でも感じられます。窓から入るやわらかな自然の光は、ほのかな温もりを与え、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。やわらかな光はお家をより豊かな空間にしてくれます。
・心地よさをつくる
木漏れ日は、床に表情を生み、より美しく見せてくれます。ホッと一息つける場所をつくることで日々の生活の中に豊かさが生まれます。毎日過ごすお家だからこそ、心地よいと感じられる光が必要です。
限られた条件の中でもパッシブ設計の目線でお家づくりを考えていくと、光が回るような窓の大きさや位置であったり、間接光、吹き抜けから落ちてくる光など、周辺環境を読み解き、さまざまな光をうまく利用することで、居心地の良さが生まれてくれるのです。
④自然風利用
風の通り道をつくり心地よさを生み出します。
風を通すことで、建物内に溜まった熱を排出することができ、涼を得られて快適さを感じることができます。
自然の「風」の力を利用した、パッシブデザインの設計ポイントをご紹介しますね。
・風を通す
「風通しのよい家」と表現されるように、風の流れに逆らわず、風上に入口、風下に出口となる窓を計画することで、家の中の風 は格段に流れます。大きい窓がよいのではないのです。風の流れをしっかりと意識した計画をすることが大切です。
・風をとらえる
私たちはよく「風をとらえる」という表現をします。家は、常に風向きと正対しているとは限りません。その場合、家の周りを流れる風を意識的に室内に取り込む計画が必要です。
縦すべり窓を適切に配置し、壁に沿って流れる風をとらえたり、排熱用の窓などを考えます。
・風をつくる
風は気圧の違いや温度変化から生まれます。夏場、木陰は周辺よりも温度が低いため、そこにわずかな風が発生します。また吹抜けを設けると気流が生まれ、下から上に流れる風を生み出すことができます。
実際、中庭のあるお家に住んでいるOBさまに聞くと、「囲まれていても心地いい風が入るので、よく窓を開けて過ごしていますよ。夏はここでBBQをしたり、ビール片手にくつろいでいます。」と想像以上に風が生まれてくれる中庭の心地よさを実感されていました。
⑤日射熱利用暖房
太陽の熱を冬の暖に
最後に、「熱」を活用したパッシブデザインの設計ポイントをご紹介します。
日射遮蔽では、夏場の対策についてでしたが、ここでは、冬場に熱の侵入を室内に取り込んだ暖の利用についてお話していきます。
日射熱には3つの種類があります。
一つ目は、光を取り込む「集熱」です。冬場は、効果的に光を集められるよう、窓や軒や庇位置、大きさ、高さなどを計画し、日射熱をより得られるように工夫します。日射遮蔽でお話しましたが、軒をしっかり計算して出しているお家は、夏の日中は太陽の高度が高いので日射を遮ることができ、一方で冬の日中は太陽の高度が低いので、太陽の日射熱を効率よく集めて、室内までしっかりと熱を届けてくれます。
二つ目は、集めた熱を逃がさない「断熱」です。パッシブデザインで取り入れた熱が逃げてしまうと、勿体ないので、日射熱利用暖房においても、お家の断熱を一緒に考える必要があります。断熱をしっかりしていると、夏場は外壁や屋根からの日射熱を和らげ、冬場は室内に入った熱を逃がさないため、効率的に熱をコントロールすることができます。
三つ目は、集めた熱を蓄える「蓄熱」です。室内の床・壁・天井に熱を貯めておける性質のものを選ぶことで、室温の低下とともにそこに蓄えられた熱が室内に放出されるため、じんわりと暖かいという仕組みです。
無垢床もその一つで、無垢床には蓄熱性があるため、冬場室内に光が差し込むとその熱を蓄え、放出されます。冬、化学製品の床よりも、木の床の方が、びっくりする冷たさを感じにくいのはこのためです。床に近いお子さまにとっても安心ですよね。
「パッシブデザイン」で健康・快適な暮らしを
今回はパッシブデザインをご紹介いたしました。いかがでしたか?少しでも参考になれば嬉しいです。
パッシブデザインは自然のエネルギーを利用することがポイントです。
高気密・高断熱の数値だけを重視すると、窓を無くす(小さくする)ことで断熱・気密性能は上がるのですが、その一方で風通しや明るさ、太陽の日差しを失うことになります。 これでは、自然エネルギーの恩恵を効率よく享受できないので、パッシブデザインとは言えないですし、健康的で快適なお家づくりとは呼びにくいですよね。
当たり前ですが、太陽の光と熱、自然の風はお金がかかりません。
これらの自然エネルギーを上手にお家づくりに取り入れれば、冷暖房の依存が減り、
電気やガス使用量の減少となるのでエコにつながります。
「自然を感じるお家づくり」というのは健康・快適な暮らしの実現を目指すものでありながら、省エネで地球に優しいという側面もあります。
大きな視点で考えると、化石燃料の消費を抑える事に繋がり、エネルギーコストを節約できるのですね。
そうすることで持続可能な社会形成に繋がり、次世代の子どもたちの生活にも還元されるものだと思います。 家づくりは私たちだけのものではないという事も、パッシブデザインを通して見えてきましたね。
パッシブデザインを取り入れたお家づくりを一緒に楽しみましょう!
パッシブデザインを取り入れたお家の体験や、iKKAの家づくりについて詳しく知れるイベントなど開催しています。
ご参加お待ちしております。